フィンガーウェイツ ピアノを弾く筋肉
「音楽は最初、当然頭の中にあるものだけれど、またそれがそのまま音になればどんなにか楽かは知れないけれど、指で鍵盤を押さないことにはピアノは鳴ってくれないし、頭の中の音楽が音になって現われるにはどうしたって筋肉の介在が必要なの。だから指の鍛錬は毎日おこなう必要があるの。ちょうどスポーツ選手がイメージしたように体を動かす訓練をするのに似ているわね。」
音楽生活60周年の秋吉敏子さんの言葉 NHKのFMの番組のなかでのインタビューに答えて述べていらしたもの。一時手の故障があってそれを一生懸命のリハビリで乗り切った秋吉さんのお言葉である。
筋肉の介在がなくては音楽が成り立たないということが興味深い。当たり前であるが時に忘れられる筋肉、ピアニストの精神性が語られるとき影のように支えている筋肉。筋肉の持久力、瞬発力。これらが音楽を支えているなんて普段語られることは無い。
ピアノを弾く筋肉は普段つかっている筋肉だけじゃなく日常生活では使うことがほとんど無い手の内側の筋肉が使われているそうだ。インナーマッスルというんだそうな。これはピアノを弾かないと発達しないし、弾かなくなれば退化してしまう。よく1日さぼれば3日遅れるといわれるピアノの練習。しかもある程度の負荷をかけない練習では筋肉を鍛えることも持久力をつけることも難しい。また時間もあるていどかける必要があるのだ。
「りっぱなピアニストが実は性格が悪かった」なんて話はあっても「ピアノをほとんど練習しないピアニストがいた」というのが現実には存在しない。ストイックなまでの練習の積み重ねをしているのがピアノ弾きの生活である。これはある意味で筋肉の話なのである。まじめな性格だから練習をしているのかと私たちは思っているが、実はそれほどピアノを弾かないとピアノは弾けなくなってしまうものなのである。気の毒な話であるようだが、その高みにたった人にしか味わえない喜びもまたあるのであろう。だから練習する。
頭の中でなっている音楽がそのまま現実に存在できたなら、人生を重ねただけ経験が増えて豊かになった年配者はより深い音が創れるという道理である。しかし、現実にはそうでないことが多く存在する。それは筋肉が介在しないとピアノは鳴ってくれないからで、だから日々の修練が必要だからではないだろうか。
ここで極端に言えば、ピアノを弾いてきた人には2つの生き方があって、日々の修練を選ぶか、口だけの人になるかであって、どちらも大変な苦労がある、苦労の内容は違うが。鍛錬をかかさない生活をやめれば、一時はらくちんかも知れないが、ある時間が過ぎれば、頭の中の音楽はどんどん豊かになっていくのに指が奏でるピアノは噴飯物である、だからあんなに好きだったピアノを弾かなくなって、ピアノが憎くなるのである。もしこういう人が不幸にしてピアノを教える仕事をしていたら、生徒は年中、観念的で、訳のわからない、おっかない授業を受けることになるだろう。これが口だけのひとである。今はこういう人はピアノを教える仕事につかないが昔の大学にはこういう人がいてスリッパを投げたり、イスをけったりしていたそうだ。生徒にしてみればえらい迷惑な話であったことだろう。不幸なことである。
考えてみれば、実はこのスリッパを投げつけた先生もお気の毒である。スリッパを投げつける代わりにご自分が模範演奏をして見せればすぐに解ってもらえるのにそんなことがすでにご自身でできないのであるから先生はとてもお気の毒なのである。もどかしいのである、ご自身がもどかしいのであるがその精神が倒立して生徒のすわっているイスを蹴っ飛ばすことになるのである。
幸いにして、現在このような先生は存在できない時代になってる。理由は簡単でこんな先生の生徒が上手になるわけがない。上手にならないと、世間が認めない。生徒が来ないと大学はつぶれる。だから、身をきるような改革がどこの現場でもおこっているのである。
ただ「ストイックな修練も時間が無いと難しいのよね。」とお嘆きのみなさんに「フィンガーウェイツ」がある。実は内緒で使用している人はたくさんいるらしい。
それってシューマンの映画に出てくるような「ピアニスト養成ギブス」みたいなものなの?そんなもの使って指を痛めたりしないのかしら?みんな使ってみるまではこんなことを言ってたんだけど一度指にはめてみて5分弾いてから、はずしてピアノを弾いてみると「羽が指に生えたみたい!」って言います。
特に成長期の生徒さんは今が筋力をつける絶好の時期なのです。スポーツだって小学校の高学年から中学生ぐらいまで一生懸命に筋力トレーニングをしますよね。「ピアノを弾くための筋肉」だっておなじことなのです。この時期の筋肉は一生の宝物です。だから「部活が忙しいのでピアノはもういいです。」なんていってピアノをやめちゃうのはとんでもない間違いです。大きくなってピアノが弾ける人になるかどうかはこの時期にちゃんとピアノを弾いてたかどうかによって決定されるんですって。特に大曲といわれるようなピアノ曲を弾くためには(ショパンとかですよっ)あとでとりかえしがつかないからね。できるだけピアノを続けるようにしましょうね。
ほんとに時間が無いんです。そういう人には「フィンガーウェイツ」同じ時間で4倍の効果があります。http://www.pianoya.net/pianoya_568.htm
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